毎週第1,3金曜日は、歴史上有名な武士や武芸者が詠んだ短歌「武道歌」を紹介しています。古くから伝わる言葉の中には、少し視点を変えて読めば、現代に生きる私たちにも役立つものがあります。
今月は、柳生宗厳(1529~1606))の歌を取り上げます。
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兵法の他流の是非をいう人は 極意ぞいたらぬ物とこそしれ
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他流の兵法を批判する者は未熟者だと思え、と述べています。他人を気にし、あれこれと言いたがる人は、どのような分野でも一流とは言えないでしょう。自分のやるべきことに日々、集中して取り組んでいる人には、他人に口出ししている暇などありません。現代の私たちも、もし他人に対して「あんなやり方じゃダメだ」などと言いたくなったら、この歌を思い出して自省しましょう。そしてまた、誰かから「お前のやり方は」と口を出されたら「未熟な人なんだな」と聞き流しておけばよいでしょう。
人は人、と割り切って自分の道を進む。どんな分野であっても、これが極意に至るために必要な姿勢です。
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