ファシリテーションで多様性を活かす(44)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前月に引き続き、『オンライン会議での議論の進め方』について、主に司会役に必要な考え方やスキルを紹介しています。

前回から、大きく「意見をまとめる方法」をテーマに、段階的に解説を始めました。
第1回は準備編として「意見を書き留める方法」を取り上げ、オンラインならではのチャットや文書アプリの使い方を紹介しました。
第2回(今回)は「意見を引き出すコツ」を解説します。

会議全体で参加者が積極的に意見を述べているとき、司会者や他の参加者は頷く、相槌を打つなどの傾聴スキルを使うと、話しやすい雰囲気が作れます。対面の時よりも大げさに行うのが良いです。
一方、意見が出にくそうなときは、問いかけをしてみましょう。最初は「はい・いいえ」で答えられる質問です。例えば「Aさんの意見に賛成ですか」「Bさんの考えは理解できますか」などです。これは口の重いタイプにも効果があります。
そして、話すのに慣れてきたら、徐々に自身の考えや思いを聴く質問です。「Aさんの意見についてはいかがですか?」「あなたの考えはどうですか?」などです。

なお、一回の発言時間を決めておくのがコツの一つです。発言が長すぎる、議題から外れる場合、「話が長い」と直接その人の行為を咎めず、「議題について話しましょう」「ほかの人の意見も聞いてみませんか」「全員発言してほしいですね」などと促し、自尊心は傷つけないようにしましょう。

司会者は意見を促し、出し切ることに徹しましょう。もう出無さそうだと感じても「もういいですね」と勝手に区切るのは絶対にいけません。「もうありませんか」「違う視点もあるかも」と促し、意見の抜け漏れがないようにします。この働きをファシリテーションの専門用語で「発散」といいます。
参加者から「もう大丈夫」「言い尽くした」という反応を得たら、次の段階「収束」に移ります。次回はこれを説明します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

→プロフィールはこちら

目次