ファシリテーションで多様性を活かす(38)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月も『オンライン会議での議論の進め方』をテーマに、主に司会役に身に着けてほしい、話のまとめ方や参加者の満足度を高める方法を紹介します。
前回までは、会議の話し合いの3つの種類(会話、対話、議論)について解説し、実りある議論には会話と対話という下地が不可欠であることを強調しました。
さて、会話や対話で参加者の気持ちもほぐれ、議論を始める段階になりました。
そこで注意したいのが、議題についての意見交換をいきなり始めることです。
特に議題の提案者が先走って自分の案を通そうとしたり、反対に、他の参加者が議題についての情報を持っていないなど、会議に臨む意識や情報量の差が大きいほど、次第に意見がばらばらになる、脱線する、誰もが意見を譲らず話が止まってしまう状況になりがちです。
このような状態にならないために活用したいのが、今回ご紹介する「実りある議論に必須の5つのポイント」です。
なお、これらはこのメルマガで昨年7月、外部の司会者(ファシリテーター)の実践ポイントとして紹介しましたが、あらゆる組織の会議で有効なので再掲するものです。
5つのポイントとは、1.集まった理由や意義(目的)、2.何をどこまで決めるのか(目標)、3.何について話すのか(議題)、4.公平に話し合うための約束事(ルール)、5.当事者意識を持つ(役割分担)です。
議論の段階に入ったら特に2(目標)、4(ルール)、5(役割分担)を明確にしましょう。話し合いの1(目的)と3(議題)は理解されている前提で、前回挙げたレストランの例であれば次のように述べます。「今日は、私たちのレストランのメインメニューを3つに絞るまで話し合いましょう。16時までの2時間です(目標)。なお、全員一回は発言してください。ただし、一回一分でお願いします(ルール)。○○さんはPC操作、△△さんは時間管理をお願いします(役割分担)」
このように目標、ルール、役割分担を確認すれば議論はスムースに進行します。
次回は実りある議論の材料となる「意見」の引き出し方について解説します。

 

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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