こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
ファシリテーションを応用し「ワークショップ」を社会人教育で活用するために、その主流である「研修」と比較しながら特徴をつかんでいきましょう。
先月までは、プログラムの各パートでの違いとして、まずは、冒頭の「ねらい」を説明しました。今回からは「プログラム本編の違い」を解説します。
プログラム本編は、研修では「単元」、ワークショップでは「セッション」が複数集まって構成されます。単元とは学習内容のひとまとまり、セッションとは集団活動を行う時間のことです。
ひとつひとつの単元は講義や質疑応答から成ります。研修の目的は主題(テーマ)の習得ですから、講義の内容には正確さが求められ、習得すべきレベルに合わせた解説用のテキストや参考資料が準備されます。時間配分は講義や質疑応答がきっちりと時間割の枠にはめ込まれています。
ワークショップのセッションでは、課題達成と人間関係構築のふたつが不可欠な要素として挙げられます。課題を達成すればメンバー同士の関係性が良くなり、また、メンバー同士の関係性が良くなれば課題の達成度は高まります。その積み重ねによる相乗効果が次のセッションへ活かされるため、課題へどう取り組んでいるか、メンバーの関係性がどうなっているかを見ながら、この先のセッションの内容を練る必要があります。
そのため、各セッションの時間配分では想定外の出来事が起こり、活動が伸びても良いように、ゆとりを持たせておく必要があります。目安として、講義や作業、メンバー同士のコミュニケーションなど主要な項目で7割程度とし、ゆとり時間を3割としておけば、全体には影響を与えないことが多いです。
次回は、ワークショップのセッションの中身について説明します。
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