「接遇のチカラ」 (55) 「座談十五戒」から学ぶ~朴念仁たるなかれ

松原里美(まつばらさとみ)

2023年、初めてのこんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。今年もコミュニケーションにつ
いて皆様と一緒に考えていきたいと思います。
今回も昨年に引き続き、徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」を取り上げます。
〇第14戒 朴念仁たるなかれ(P87)
 年末年始は、帰省や忘・新年会などの楽しい機会も多くなります。集う楽しみは何ごとにも代えがたい貴重なものですね。
そんな楽しさを削ぐのが、朴念仁(ぼくねんじん)です。具体的には「愛想のない人、洒落のわからぬ人、融通の利かない人」と徳川夢声氏は言います。確かに、つまらなそうな表情や、素っ気ない態度の人が輪の中にいると、気になります。また、話が盛り上がっているのに「よくわからない」と言われたり「それで?」としらけた反応をされたりしたら、興ざめします。
 しかし、当の朴念仁本人はどうなのでしょう?本当にそんな人もいますが、思わずして朴念仁になってしまう人もいるのです。
 昔の私はそんな朴念仁でした。楽しく話したい。輪の中にいたい、と思っていても、どう振る舞えばいいか、わからないのです。なにか気の利いた返しをしたい、と考えるあまり怪訝な表情をしたり、「それ何?」と水を差したりしてしまう。会話のスピードについていけず、戸惑っている間に、ポツンと残されてしまう。そんなもどかしい思いを持っていました。
 そんな私のような朴念仁さんにアドバイスです。無理に話そうとしなくても、気の利いた返しをしなくても大丈夫。非言語的コ
ミュニケーションで解決できます。
 それは、聴いている姿勢を示すことです。話している相手に視線を向け、眉間にしわを寄せたりせず、表情を柔らかくします。
そうすれば「この人は場を楽しんでいるのだな」と、周りの人たちは感じてくれます。
 人は聞きたくない話には耳を傾けません。場にとどまっていても表情や言葉の端々にその気持ちが見えてしまいます。だからこそ、心地よく聴いている姿勢で好意を伝えるのです。
 2023年も始まったばかり。気持ちのいいスタートを接遇のスキルではじめましょう。今年もよろしくお願いいたします。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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