「接遇のチカラ」 (21) (番外編) 場を和ませる会話の音~マニュアルは絶対なの?

松原里美(まつばらさとみ)

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
 「自尊心」についてお伝えしていますが、ちょっと番外編で、私の気づきのお話です。
 
 仕事柄、様々な職場の接遇をチェック・評価することがあります。先日、同僚と一緒に、ある職場のチェックを行いました。マニュアルには以下の項目があります。
 ・顧客に対し友達口調(タメ口)で話をしない
 ・顧客の前で私語をしない。
 見回りした部署Aは、とても静かでした。顧客への説明は丁寧な言葉遣いが徹底されていましたし、スタッフ間の私語はもちろん、やりとりもほとんどありません。ピリッとした空気が流れていました。
 いっぽう、部署Bは、人の話し声が多く聞こえました。顧客への話し方は「素敵じゃないですかぁ~」というような友達口調が時々混じります。スタッフ間の会話も「ありがとうね」など軽いものが頻繁に交わされていました。居心地のよい空間のように感じられました。

 私たちは、ここでふと気が付きました。
 「マニュアル的にはAの方が優秀なのに、雰囲気はBの方がいいなぁ…」
 部署Aのお客様はちょっと緊張したような面持ちだったのに対し、部署Bのお客様はとてもリラックスした表情でスタッフと話を交わしていたのです。
 
 マニュアルを遵守している。でも、お客様が緊張感のある雰囲気に直面したら、「自分は受け入れられている」と、どれだけの人が感じるのでしょうか?ともすれば萎縮させてしまったり、「対応が冷たい」と感じさせたりするかもしれません。

 もちろん、それぞれの現場の特性により度合いは異なりますが、受け入れの気持ちを表すためには「緊張させない雰囲気作り」が必要なのだ、と体感しました。
 接遇マニュアルや原則は大切です。ですが、それを守ることに囚われて、届けたい「受容」の心が見えなくなっては残念です。
 マニュアル通りにやってもうまくいかないこともあります。だからこそ、時々の見直しが大切です。「これが絶対」と思わず、場によって考える視野を持とう、と感じる出来事でした。
 

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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