余計なことを言わない強さ

 前回、「言うまいと思えど今日の暑さかな」という句を引いて、言っても役に立たないことは口にしない方がよいと述べました。
こういう心掛けは、影響力のある人、職場のリーダーである人にとっては特に大切です。
 例えば、猛暑日に仕事をしている場面で、リーダーが「暑い、暑い」と言い立てていては、部下後輩の志気に関わります。部下後輩が「暑いですね」と話しかけてきたら「そうですね」と同意共感すればそれでいいのです。そして、「しっかり水を飲んで」「適時休憩して」と、配慮の言葉をかけられるのが、心の強いリーダーだと私は思います。
 女優の吉永小百合には、「極寒の地でロケをした際、一度も寒いと言わなかった」というエピソードがあります。もし、主役が「寒い、寒い」と言い立てていたら、本人も周囲も、撮影に集中し全力を出すことはできなかったでしょう。余計なことは口にしない強い心があるからこそ、大女優と言われる存在になれたに違いありません。
 周囲を見ると、ちょっとした発言で自分の価値を落とし、悪影響を与えて気づかない人がたくさんいるようです。朝、人と会うなり「眠い」とこぼしたり、職場に来るなり「疲れた」と口にしたり、そんな人が皆さんの知り合いにいないでしょうか。強い心を養って、そうした発言はなくしたいものです。

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この記事を書いた人

講師道錬成道場 雙志館 館長

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