今月から、宮本武蔵が書き残した言葉を取り上げてまいります。
今回は「万事において我に師匠なし」です。これは『五輪書』の「地の巻」冒頭、武蔵が自分の人生を振り返りながら、著者としての自己紹介をする部分に書かれています。
「師匠なし」と言いますが、武蔵は単に自分勝手に剣をふるってきたわけではありません。その前の文章を読むと10代から50代に至るまで、数多くの戦いを経験し自分を鍛え続け、その結果つかんだ道理を他の事にも応用している、と述べています。先生はいなくても、戦いの相手や周囲の人々から多くを学び取り入れてきたことでしょう。
この言葉には、独立の誇りだけでなく、生涯を通じてひとつの技能を磨き続けてきた自信が感じられます。
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