オンラインによるファシリテーション(18)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回は、議題の進め方の第2段階「傾聴や問いかけを行う」の補足事項「発言を独占されたときの対応」を説明しました。
今回からは、第3段階「意見をまとめる」を3回に分けて解説します。
多くの意見が出てこそ充実した話し合いになります。しかし「どうまとめていいかわからない」という悩みは意外に多く、うまくまとめる力が進行役の腕の見せ所と言えましょう。
第1回は「論点から外れた意見にはすぐに対処する」です。
たくさんの意見が出るとしても、それらはすべて取り上げる必要はあるのでしょうか。
事例で示します。ある会社の製造担当者たちが製品単価について議論しています。論点は、資材費高騰により値上げは決まっていて、どれくらい上げるか、です。
課員A「以上が私の試算です。当初より500円値上げが必要です」
課員B「500円では消費者の負担感が大きい。なんとか400円台で収められないか」
すると、課員Cが「ちょっと待って。パッケージも変更すれば消費者の印象も変わる。もっと高級感のあるデザインにすれば…」と口を挟みました。
そこで、すかさず司会Dが「Cさん、今は試算についての意見交換です。デザインの話は別の機会でお願いします」と制しました。
発言が論点から外れているとわかった時点ですぐに介入するのがポイントです。長い話になってからだと発言者に恥をかかせますし、周囲も論点から段々と外れていきます。
ただし、言い方には注意しましょう。「それは論点が違います」とストレートだと、余計な反感を買う恐れもありますので、「意見はありがたいが、今はその話ではない」というニュアンスで伝えましょう。
次回は第2回「似た意見同士を集める」を説明します。
本年の連載は今週号までです。お読みいただきありがとうございました。新しい年も学びを広げ深めていきましょう。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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