こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回まで、議題の進め方の第2段階「傾聴や問いかけを行う」を3回に分けて説明することとし、1回目に「意見を引き出す方法」、2回目に「傾聴の実践テクニック」を紹介しました。
最終回の今号は「質問の実践テクニック」です。
質問をうまく活用すれば会議をより効率的に進められます。日常会話でも使われますが、あまり深く考えず、その場で浮かんだ疑問を口にすることも多いでしょう。しかし、会議では、議論の目的に沿って得たい情報を明確にし、事実や要点を確認することに留意しましょう。
「なぜ?」「どう思う?」などの、漠然とした相手の感情を尋ねる問い方は避けてください。
会話例で示します。企画を提案したAさんに、議事進行役のBさんが問いかけている場面です。
A「以上が、私の提案です」
B「なぜご自身の提案が良いと思いますか? Cさんの案をどう思い
ますか?」
A「どうって… 地域シェアの首位奪還には私の案しかないでしょう。
Cさんの案は時間と経費がかかり過ぎますよ」
問いかけが漠然としているため、Aさんはつい感情的になり、Cさんに対しても攻撃的な態度を取ってしまいました。
Bさんが次のように問いかけたいたらどうでしょう。
B「あなたの案のメリットは何ですか。Cさん案との違いはどこでしょうか」
このように、知りたい情報を明確に絞って質問すれば、Aさんも「メリットは〇〇です。違いは××です」と感情的にならず返答できるでしょう。他の参加者に有意義な情報が共有されます。
こうした質問の仕方は、司会進行役はもちろん、参加者も押さえておきましょう。特に司会進行役は、参加者が漠然とした質問をしたら、具体的なポイントを尋ねるよう注意しましょう。
次回は「発言を独占されたときの対応」を説明します。
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