ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(7)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
先月より質問スキルを紹介しています。質問は、相手をもっと深く知りたい意図を持ち、行為では「訊く」と表現され、うまく活用すれば傾聴をより深める効果があります。
今回は『閉じた質問』です。これは英語のclosed questionの訳で、問いかけに対して「はい」か「いいえ」のいずれかを答えれば、会話が完了するものです。closeには閉じる、閉めるの他、終了するという意味があります。一言答えれば、そこで会話が一旦終了する質問ということです。
 閉じた質問は、相手の意志や考え、感情や情報を確実につかむために使います。
事例として、営業部の新人Aさんに、OJT担当の先輩社員Bさんが問いかけている場面です。
・B「Aさん、先週指示したC社への見積書は出来ていますか?」
・A「あ、いいえ…」(出来ていない事実がつかめた)
・B「今日の午前中には出来るかな?」 
・A「(悩みながら)…いいえ」(状況が見えた)
・B「作るのを忘れていた?」
・A「(きっぱりと)…いいえ!」(サボっていない事実がわかった)
・B「C社の要求が厳しいのか?」
・A「(答えづらそうに)…はい」(出来ない理由がつかめた)
閉じた質問のコツは、問いかけをシンプル、ひとつだけにすることです。ふたつ以上の質問を同時に問いかけてはいけません。例えば、上の事例で、見積書が出来ていない理由を知ろうと、「サボっていたの?お客様の対応が厳しいの?」と連続して問いかけたら、Aさんはどちらに答えてよいかわからず困惑します。また、問い詰められる感じがして、態度を委縮させてしまいます。
結局、質問者は正しい情報を得られないどころか、関係性も悪くしてしまいます。
次回は、『開いた質問』を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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