ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(4)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

 こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 今月から、職場での活用スキルとして「傾聴」と「質問」を挙げ、前回からは「質問」を紹介しました。
 質問は、相手をもっと深く知りたい意図を持ち、行為としては「訊く」で表現されます。傾聴をより深める効果もあります。
 前回の『否定質問』に続いて今回は『肯定質問』です。
 肯定質問とは、「~する?/~した?」と肯定形を使った問いかけで、相手が起こした結果に対する原因や行為の理由や事実を明確にすることです。
 事例として、商談がうまくいかなかった営業部のAさんに、先輩社員Bさんが問いかけている場面です。
・B「Aさん、今回の経緯についていくつか確認するけど、いいかな?」
(質問の意図の提示)
・A「はい」
・B「まずは、チェックリスト作った?」(肯定形での問いかけ)
・A「いいえ、作っていません。無くても大丈夫だと思いました…」
(事実と理由)
・B「商談にはリラックスして臨めた?」(肯定形での問いかけ)
・A「はい、緊張はありませんでした…」(事実)

 肯定質問を使うには、否定質問同様、人間関係を築いておくのが前提ですが、さらにコツがあります。質問の意図を最初に提示し、問いかけは論理的な順序で行いましょう。
 肯定質問は、「なぜ、していないのか」という否定的な問いかけではないため、否定質問のように相手を責めたり、追い詰めたりする印象は比較的薄いです。しかし、問いかけの意図が分からず、散漫だったり、質問量が多かったりすると、「何を目的に訊いているのだろう?」と相手は混乱し、疑念を持つ可能性があります。
 次回は『過去質問』を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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