こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回から、職場で活用できるスキルとして「傾聴」と「質問」を挙げ、まずは「傾聴」の言葉の定義を行いました。
私たちが音声を感知する状態の「きく」は、聞こえる、聞く、聴く、に分けられますが、傾聴は「聴く」に相当します。今回はこれらについて事例を挙げて解説します。
たくさんの人が働いている職場内の様子を想像してください。
出勤してきたAさんが、4名の同僚に「おはようございます」と挨拶をしました。それに対する反応はさまざまです。
Bさんは、Aさんに顔を向けず返事もしません。聞こえなかったのでしょう。
Cさんは、Aさんに顔を向けず「あぁ」と声を発しました。聞こえてはいたようですが、Aさんの言葉を聞く気はないようです。
Dさんは、Aさんに顔を向け「Aさん、おはようございます」と応じました。Aさんの挨拶が聞こえただけでなく、それに意識を向けたので、「自分も挨拶を返そう」と行動しました。Dさんは、Aさんの言葉を
「聞いた」と言えます。
Eさんは、Dさん同様にAさんに挨拶を返し、こう付け加えました。
「Aさん、今日はなんだか元気がないですね」。Eさんは、Aさんの言葉を「聴いた」と言えます。さらに「何かあったのですか?」と訊けば、Aさんの言葉を積極的に「聴く」ことにつながります。
同じ挨拶の場面をとっても、4名の異なる態度、対応がありました。
「人の言葉をよくきく」力が一番あるのは、言うまでもなくEさんですね。特にEさんは「訊く」ことで傾聴を深めています。
このような「人の話をきく力」、ここでは「傾聴力」と呼びますが、それがあるかないかは人間関係や仕事に大きく影響します。
次回は、傾聴を深める「訊く」について事例を挙げて解説します。
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