オンラインによるファシリテーション(20)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回まで、オンライン会議における議題の進め方の第3段階「意見をまとめる」を3回に分け説明してきました。第3回の今回は「フレームワークを使う」です。
フレームワークとはものごとを思考する枠組みです。ビジネスでよく使うものでは、報・連・相、5S、PDCAなどがあり、会議では、既存の発想を打ち破るブレインストーミング、賛成・反対の両面で比較するプロコンなどがあります。
今回はペイオフマトリクスを紹介します。縦軸を実現性、横軸を実効性とし、ふたつの軸を交差させ四象限に区切り、意見(案)を分類するものです。
各象限は4つに分けられます(実現性・実効性とも高、実現性は低・実効性は高、実現性は高・実効性は低、双方とも低)
事例に、前回に続きある会社での値上げについての議論を挙げます。
4人の意見を似たもので集め大きくふたつに分けました。
〇400円~500円。大幅値上げ案。今後段階的値上げが見込まれるので最初に一気にやりたい。ただし、値上げによる悪印象や顧客離れが心配(A・Bさん案)
〇200円~300円。値上げ幅最小案。300円は利益率ぎりぎり、顧客も理解するはず。200円は原価割れなので生産量を増やしカバーする(C・Dさん案)
 ペイオフマトリクスに当てはめると、大幅値上げはすぐに実現できそうですが、顧客に負担を与える点で実効性が低そうです。最小案は負担は抑えられますが、生産量増加は実現性に難ありです。
こう比較すると、実現性と実効性のどちらを優先すべきか、という新たな視点が出てきます。それを皆で検討すれば、漠然と悩まずに的の絞れた議論ができます。両者のバランスを考えれば「300円。以後段階的に対応する」という結論もあり得るでしょう。
次回は第4段階「実践につなげる」を説明します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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