「接遇のチカラ」 (52) 「座談十五戒」から学ぶ~賛成居士たるなかれ

松原里美(まつばらさとみ)

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」から、このコツを学びます。
○第11戒 賛成居士たるなかれ(P84)
徳川夢声氏は「相手が何を言っても、片端しから賛成同意する人」を「賛成居士」と呼んでいます。人は賛成してもらえると嬉しくなります。とはいえ、何でも言われるままの人とは、付き合いに物足りなさを感じませんか?
これを映しているAさんの悩みは、同僚Bさんとの付き合いです。きっかけは、ランチでした。Aさんはお昼に行くお店を考え、Bさんに「パスタってどう?」と尋ねます。すると「いいね!」との返答。意見が合ってよかったとAさんは感じます。次の日は、Aさんは定食屋を提案し、Bさんも同意します。
そんなやり取りが毎日続き、Aさんはちょっと疲れてきました。Bさんは提案をニコニコ受け入れるけれど提案はしないのです。そこで、Bさんに「どこに行く?」と聞いてみました。その返答は「なんでもいいよ」。そこでAさんは気が付きました。「この人、実はノープランで、私に考えさせているんだ」。そこから、Bさんとの関わり自体が億劫になってしまったそうです。
こんな考えなしの同意のふりは、会議などでも見られます。賛成しておけば、特に意見を求められないので、流されるまま座っているだけ。そんな場に活発さは見受けられません。
コミュニケーションはキャッチボールと以前からお伝えしています。お互いの心の交わしあいが喜びを生むのです。ですから、同意からよい関係が生まれるとしても、相手任せではいけません。これではキャッチボールではなく、壁打ちです。見解は人それぞれ違うからこそ、合致したときの喜びは大きくなります。しっかりと考えを伝え、関係を築いていきましょう。
次回の「反対居士たるなかれ」では、反対にまず否定する人について考えます。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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