「接遇のチカラ」 (50) 「座談十五戒」から学ぶ~法螺吹きたるなかれ

松原里美(まつばらさとみ)

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」から、このコツを学びます。
○第9戒 法螺吹きたるなかれ(P81~83)
 今回は「他人が耳を傾けなくなる原因」を考えます。徳川夢声氏はこれを「すべて大袈裟に語る人がある」ということから「法螺吹き」と「最大級の言葉」と示しています。
話をちょっと盛るというのは、ありがちかもしれません。
「仕事が忙しくてさぁ。連日午前様なんだよ」(毎日遅いけど、実は午前様は昨日だけ)
「新人指導で大変!私しか教えられる人いないから、ずーっと聞かれまくりなの」(実は付きっきりではない)
盛って話すと、なんだか話が面白くなるような気がして、つい…。でも、それは法螺吹き、つまり嘘です。ちょっとくらいなら…と話を作ってしまう。夢声氏は警告します。「あまりに誇張したハナシぶりは、その人の人格を安っぽくします。しまいには、何を言っても他人が相手にしなくなります」
法螺を吹いて、話を大きくしたり自分の優越性を誇示したり。でも、周りの人は「また盛ってる」と気がついています。そうして、何を言っても信頼されなくなっていきます。すると夢声氏が言うように「自然、本当の友達ができません」となります。話を盛るのはスパイスではなく、法螺吹き、つまり嘘つきだとを心しましょう。
また、もう一つ夢声氏があげるのが「何にでも最大級の言葉を使う」ことです。示した例は、現在の会話でもよくあるな、と感じます。
「『あんなりっぱな男は絶対にない』 『あんな悪い奴は世界中にない』『こんな美味いビフテキは生れてはじめてだ』『こんな素晴しい小説は、今までの文学になかった』などと、全部最大級の言葉で話す。聞く方ではその最大級に、さっぱり感動しなくなるものです」
盛った話や大げさ過ぎる表現は、共感を呼ばず聞く側をしらけさせてしまいます。語彙力は常に磨いていきましょう。
次回の「酢豆腐たるなかれ」で、知ったかぶりの見苦しさを考えます。

※「話術」(新潮文庫) 著者:徳川夢声 新潮社
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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