ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(22)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月は、「話を促進させる一言」をテーマに、状況に応じた「一言」「言い回し」を解説しています。
今回は、話の目的を問う言い回しです。
話し合いは、お互いの発言の意図、理由、根拠を知る、そして、意見同士のつながりを明らかにすることで促進されます。
ですので、止まらないようにするには、わからないことをわかるようにする問いかけ「なぜ」を使うのが効果的です。
「なぜ」は思考の原点となる言葉です。話し合いの方向性や内容に大きな影響を与えます。
一例として、昇進を促された部下が上司に断りたいと伝える場面です。
部下「リーダー職にしていただくお話、ありがたいのですが辞退したいのです」
上司「辞退したい。なぜ? 理由を聞かせてくれませんか」
部下「自信が無く・・・」
上司「自信か・・・ どうして、そんな風に感じるの?」
部下「会社が私を後押ししてくれない気がするんです」
上司「後押ししない? 具体的にはどんなことだろうか」
部下「うちには社員教育制度がありませんよね。人を育てる気が感じられません…」
上司「うむむ・・・ 確かにそこは私も課題に感じています」
このように、部下の本音、望む目的がわかれば、今後やるべき活動の検討に進めます。
なお、例のような気まずい話題では、一回くらいの「なぜ」で本音は出ませんので、問いかけを何回か繰り返す必要があります。
ただし「なぜ」だけを繰り返すと追い詰められる感じもしますので、類似表現の「どうして」「どんな理由で」「何のために」などを使い分ければ、詰問の雰囲気が和らぎます。
また「心配なことは?」「気になることは?」と選択肢を投げかけ、会話の幅を広げれば、具体的な意見を引き出しやすくなります。
次回は、「話を促進させる一言」の総括です。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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