「接遇のチカラ」(43) 「座談十五戒」から学ぶ~黙り石となるなかれ

松原里美(まつばらさとみ)

こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
コミュニケーションは相手ありき。そのために接遇のスキルを活かします。前回より、徳川夢声氏「話術」の「座談十五戒」を取り上げ、このコツを学びます。
○第2戒 「黙り石となるなかれ」(P70)
 会話はキャッチ・ボールのように交わし合い成立します。しかし、これがうまくいかないと、「この人とはもういいや」となります。
そんな残念な一因として、前回は一方的に話し続けることを挙げました。今回はその対極です。
話しかけても、相手の表情は変わらないし、返答もない。そんな時、どう感じますか?「言ってること、聞いている?」と疑ったり「癇に障った?」と不安になったり。「もう私とは話したくないのかな?」と感じるかもしれません。
徳川夢声氏は、こんな相手を「黙り石」と例え、「こういう岩石みたいな相手はニガテです」と切り捨てます。
そんな黙り石さんは2つに分かれます。
まずは、ただ聞いているのを良しとする人。本当に「岩石みたいな黙り石」です。
もう一つは、口を開くタイミングを失った人です。相手に不快感を抱かせたくない、気の利いた返事をせねば、と迷っている。もしくは、会話のペースについていけない。そんな「不本意な黙り石さん」です。
もし、あなたが「不本意な黙り石」さんだとしたら、コツの一つとして、相手の言葉の一部でも復唱してみてください。「この案件、大変だったんだ」と言われたら「大変だったですね…」と返すのです。するとお相手は、言葉のボールを受け止めてくれたと感じます。
また、反対に相手が黙り石になっていたら、自分の話のペースなどが一方的になっていないか省みてください。つまり、前回の「一人で喋るなかれ」になっていないか、です。
言葉を交わすラリーができる人とは、また話したくなります。そんな関係をぜひ生み出してください。
 次回の「反り返るなかれ」で、相対する姿勢を考えます。

※「話術」徳川夢声著 新潮文庫(2018年 発行)
(1947年に秀水社から出版されたが、2018年に新潮社より復刻)

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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