こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月は、『意見に応える』をテーマに様々なスキルを紹介しています。今回は、相手が言ったことを「評価しない」です。
評価とは、一般的にはモノの価値や価格を定めることで、職場では製品やサービスが該当する場合が多いでしょう。人に対しては、与えられた業務目標に対する達成の度合いを「予想を上回る・少し上回る・予定通り・少し下回る・大幅に下回る」などの指標を用い、昇進や昇格を判断する人事評価という言葉で使われており、聞いたことがある人もいるでしょう。「評価」は、多くの時間を職場で過ごす私たちには終始つきまとい、習慣となっています。
それなのに「評価しない」とはどういうことでしょうか。それは、会話の中で評価や判断(断定)が入ると、相手はそれをもとに次の言葉を探し始め、本来の思いや考えから外れていくからです。
例えば、ある企画について自由闊達なアイデアが欲しいと上司が新入社員たちを集めて会議を開き、そこでまず新人Aさんが提案、上司が応える場面です。
新人A「私は〇〇を提案します」
上司「Aさん、良い意見だね。企画の主旨を理解しているね」
(評価と断定)
この応え方では、その後の新人Aの発言は上司の評価をより意識したものになります。他の新人も、なるほどあんなふうに言えば褒められるんだ、実は違う意見だけど、Aの案に乗っかるほうがいいな…とホンネを隠してしまいます。結果として、アイデアが自由に提案されず、会議の目的は達成されません。
ですので、先の場面では、提案してくれたお礼と、断定ではない肯定で応えましょう。
上司「Aさん、提案ありがとう。企画の趣旨にも沿っているようだね」
職位や役割を背景にした発言(ポジション・パワー)は想像以上に影響があるのを忘れないようにしてください。
次回は「小さな変化に気づく」を解説します。
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