ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(10)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
代表的なものとして傾聴と質問のスキルを紹介してきました。これらは、話す相手をもっと深く知りたい意図を持ち、信頼関係を深める効果があります。
前回からは『沈黙』を紹介しています。沈黙とは、話す相手との間にやりとりがない状態です。お互いに黙るため、やり取りがうまくいっていないと心配する方も多いでしょう。しかし、沈黙を上手く使えば、話し手(質問者)と聴き手(回答者)の信頼を深められます。
前回は、相手からすぐに回答を得られなくても、10秒ほどの沈黙には耐えられるようにしましょうと、ご自身の好きな曲を心の中で歌い、時間管理を行うコツを紹介しました。
今回は、10秒以上の長い沈黙になった場合の応え方を解説します。
基本は「じっくり構える」ことです。相手が発話せず、考え込んでいる動作を冷静に観察してください。首をかしげる、う~んと唸る、手を組み合わせる、腕組みをするなどです。その際、こちらは動作せず回答を待ちましょう。頑張って考えているんだなと情愛の気持ちで臨みましょう。
反対に、やってはいけないのは回答を急かす行為です。相手の顔を覗き込む、貧乏ゆすりをする、ペンを手で回す、机を指で小突く、わざと咳払いするなどです。これらは、相手の意識をあなたに向けさせ、考える時間を邪魔する行為ですので、絶対にやってはいけません。
次に、長い沈黙を経て、やっと話すときが来たら「頷き」です。
人は何か話そうとする時は、じっとしていた時よりも呼吸が早くなります。そのタイミングをつかみ、心から、大丈夫ですよ、安心していいですよ、と無言のメッセージを送りながら、少しずつ頷いてみましょう。すると相手は意見を言いやすくなります。
次回は『意見に応える』を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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