ファシリテーションの基礎スキル 傾聴(6)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
先月より質問スキルを紹介しています。質問は、相手をもっと深く知りたい意図を持ち、行為では「訊く」と表現され、傾聴をより深める効果もあります。
今回は『未来質問』です。未来質問とは、これからやろうと思っていること、こうあればいいと想像している夢など、未来の事象について問いかけを行い、実現に必要な目的や目標などの要素を明確にすることです。
事例として、商談がうまくいかなかった営業部のAさんに、先輩社員Bさんが問いかけている場面です。
・B「Aさん、今後はどんなふうに商談をしたい?」
・A「はい、見積金額を間違えてしまったので、確認を徹底します」
・B「大事だね。それはそれとして、次回の商談はどんなふうに進めたいかな?」
・A「どんなふうに・・・ですか?」
・B「うん。Aさんらしい成功イメージがあると思うんだけど?」
・A「そうですね… 今は商品説明で精一杯ですけど、本当はもっとお客様の声が聴きたいのです。それで信頼してもらえて契約が取れれば最高ですね」
・B「おお、いいね。そのためには今からできることは何かな?」
・A「ミスがあったら台無しですから、まずはチェックリストを作ってみます!」
事例の前半のように「今後どうしたい?」と訊くと、相手が過去の失敗の改善提案を述べるのはよくあります。これでは過去に焦点が当たっていますので、あくまでも過去とは切り離した未来イメージを語らせるのがポイントです。
また、未来質問は直近の時間から先へ進めましょう。「君も将来部下を持つのだから、その視点で考えてくれるかな」と時間的あるいは立場的にかけ離れた問いかけでは、励ましているつもりがかえって相手を混乱させ不安な気持ちにさせてしまいます。
次回は、『閉じた質問』を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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