ファシリテーションの基礎となる思考方法 ポジティブ思考(2)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

本年もよろしくお願い申し上げます。毎週水曜日を担当する水江泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
正しく理解していただくために、これまでは、基礎となる考え方(思考)をお伝えしてきました。ロジカル思考、システム思考、クリティカル思考、前回からはポジティブ思考を取り上げています。
その基本的な考え方は、物事をありのままに捉える、良い・悪いの評価はしない、その上で積極的な姿勢で分析と改善に取り組むことです。
今回は、ポジティブ思考と混同されがちなプラス思考との違いを説明します。
事例として「企画書づくりに自信を持つ営業スタッフが新製品の売込みで断られた」という場面です。このスタッフは自分の置かれた状況をどのように捉えるのでしょうか。
ポジティブ思考…「企画書は通らなかった。その事実を踏まえて次はどうするか、多面的、論理的に考えよう。そうすれば必ず次は効果的な企画書が書けるぞ」
プラス思考…「企画書が通らなかった。これを良い経験としてもっとよい企画書を作ろう、そのための足掛かりとして、通らなかったのも悪いことではないはず。むしろ通らなくてよかったんだ!」
どちらが良いというわけではありませんが、ファシリテーションではポジティブ思考が前提となります。というのは、起こった出来事をありのままを受け止めるからこそ、前回までに紹介してきた様々な分析思考が有効になるからです。
プラス思考は、ものごとを良い方向に捉える、何とかなる、悪い物事でも前向きに考えられる思考です。これは個人がいつまでも失敗に囚われず、やる気に向けさせるには有効な手段です。
しかし、会議の場で、悪い情報を良いように思い込むのは、参加者が事実を歪んで受け止め、その後の判断を誤ってしまう可能性もあります。
 次回はポジティブ思考が参加者に安心や安全の心理的効果を与える事例を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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