「接遇のチカラ」(30)  待てる力~思っていても伝わらない

松原里美(まつばらさとみ)

 こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。
 接遇のテクニックを「知っていても」使えなくては活かせません。そのためには使い続け身につけると同時に「待てる力」も必要です。この「待てる力」について2回に分けてお話します。
 先日、信号のない横断歩道を渡ろうとしました。交通量が結構あるので通り過ぎる車をしばらく見送っていました。一台の車が止まってくれましたが、反対車線は車が走り抜けていきます。やがて、やっとそちら側の車も止まってくれたので、道を渡ることができました。その時に「横断歩道で待ってるの見ても止まってくれない人もいるんだ」と残念に感じました。
道路交通法第38条には「横断歩道を通過する車両は、横断歩行者がいる場合には横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げてはいけない」とあります。要は「横断歩道に人がいたら止まりなさい」なのですが、現実には大半の車は止まりません。
車に乗る方は思い出していただきたいのですが、運転免許証を取得した直後は、習得したての知識や技術で結構緊張しています。ですが、車を手足のように扱えるようになると、道交法などは、つい忘れ、自分の経験値に基づいた運転になっていきます。
「このくらいスピード出しても今はいいよね」「一車線だけど追い抜きOKだよね」など自分の経験が蓄積されるからです。こうして、知識はあれど、自分中心の思考と解釈にすりかわるのです。
これはコミュニケーションの場でも同じです。相互の関係を円滑にするスキル(接遇)は知っている。でも「今はいいよね」と、自分をつい優先にしていたらどうでしょうか?例えば話をしていても、目も合わせてもらえなかったり、自分の用事に気をとられ生返事をされたら「関心ないの?」と残念な気持ちに相手をさせるでしょう。「このくらいならOKだよね」という心に「待った」をかける力が必要なのです。
相手のために「待てる力」を養えば、知識と技術がいっそう活かされます。次回はコミュニケーションに必要な「待てる力」もう少し掘り下げます。

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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