ファシリテーションの基礎となる思考方法 システム思考(1)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
 この連載は、昨年7月司会や議事進行を行うファシリテーターを対象に開始し、一年が経ち今夏7月からは、会議の参加者全員が身に付けておくと役に立つスキルを紹介しています。
 前回までは、その基礎となる考え方、論理思考(ロジカルシンキング)を取り上げ、それを活用したフレームワーク(思考の枠組み)というツール(道具)を紹介してきました。
 先人の知恵であるフレームワークを使えば、一から方法を考えなくていいので、貴重な時間を無駄にせず、仕事の効率は格段にアップし、また、他の仕事に時間を割り当てることもできます。
 しかし、今後、皆さんの仕事が高度に、そして、複雑になる、または、難しい問題が発生したらどうしますか。
特に今回のコロナウィルス騒動は、突然の発生でいまだに社会全体が揺さぶられており、程度の差はあれども、皆さんの職場でも様々な影響が出ていることでしょう。手洗いやマスク着用など日々の感染拡大防止活動に加え、時差出勤やテレワーク、オンライン会議、書類のデジタル化など、仕事のやり方そのものを変えるような急激な変化が相次いでいます。
 そのため、コミュニケーションが不足している、労働時間の管理をどうするか、という新たな問題が発生しています。問題が問題を生み、今までのやり方では解決するのが難しくなってきています。
 そのようなときに活用したいのが「システム思考(System Thinking)」です。システム思考はロジカル思考の応用版ともいえるもので、考え方は1950年代、米国MITで確立され、民間企業の他、各国政府や行政、国際機関、NGOなどで活用されてきました。2000年代以降の気候変動問題など、国と国、関係機関が緊密に連携すべき状況になるにつれて注目されています。
 社会の物事や状況について、目の前の個別の要素や現象に囚われず、要素同士の結びつきやつながりといった関係性や構造を理解し、解決に至ろうとするものです。
 次回からはそれの活用スキルをお伝えします。

 

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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