「接遇のチカラ」 (28)番外編:謎マナーから考える〜ニューノーマルをつくる思考力

松原里美(まつばらさとみ)

 こんにちは!第2・4月曜日を担当するコミュニケーション講師の松原です。今回はちょっと番外編で、ちょっとした雑談からの気づきです。

 すっかり必需品となったマスクですが、黒色のマスクについて友人たちと話をしました。すると、持っているイメージは人それぞれだとびっくりしました。黒色を使っている人への印象は真っ二つに分かれます。

・かっこいい。意識が高い人がつける。

・怖い。ヤンキーやオラオラ系な人がつける。

 映画やテレビなどメディアに出る人たちのファッションや、普段見かける光景から受けるイメージは人それぞれです。そんな両面のイメージを持つ黒マスクですが、なぜか「葬儀では黒マスク着用がマナーだ」という説が、最近ネット上で話題になりました。それをめぐって「絶対黒でないとダメだ、マナー講師が言っているんだから」と広める人や「葬儀があるのに、黒いマスクが手に入らない」と慌てる人など、様々な感情が行き交いました。

 そこでふと、疑問がわきました。

 「あれ、『マナー』は礼儀作法なのに、なぜ不作法なイメージもある黒マスクが推奨されているんだろう?」

 この説は「喪服は黒だから、マスクも黒」という短絡思考からきたものです。黒でなければいけないのなら、男性の喪服スーツの白ワイシャツはマナー違反でしょうし、女性のネックレスも黒真珠でなくてはダメという話になります。

 こんなこともあり、「葬儀時に黒マスク」は「謎マナー」とも言われています。マナーの意味、またマスクの必要性を考えれば、まずはマスク着用が大事であり、場にそぐわない突飛な色や柄でなければよいのです。「黒でなければ」と決めつける理由はどこにもありません。

 コロナ禍により、様々な「ニューノーマル」が生まれています。しかし、それはまだまだ形成過程にあります。そんな模索の中で「〜でなければいけない」を耳にすると、振り回されてしまうかもしれません。しかし、社会を動かすのは氾濫する情報ではなく、私たち一人一人の行動です。情報に振り回されず、「それはどうしてだろう?」と立ち止まって考える。それが自分の行動を整え、より良い「ニューノーマル」をつくりだす第一歩なのです。

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この記事を書いた人

研修講師、地域密着ワークショップファシリテーター
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