ファシリテーションの基礎となる思考方法(11)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

 こんにちは! 
 毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
 本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。その基礎となるのがロジカル思考で、それを活用したフレームワーク(思考の枠組み)というツール(道具)をひとつずつ紹介してきました。
 本日は、最後のツール『ロジックツリー(Logic Tree,論理の樹形図)』です。ロジカル思考の代表であり、参考書では最初に登場します。
ロジックツリーはある議題を根っこに見立て、そこから枝分かれするように意見や情報が網羅された体系図が出来れば完成です。前回のディシジョンツリーはその応用で、それぞれの意見に売上や費用など見込み数値を付記し、相互に見比べ意思決定を行います。
 ロジックツリーには目的により3つの種類があります。
 ●あるものの存在を大分類から小分類へと整理していく要素分解的なもの(例:会社の組織図、生物種の分類図)
 ●ある課題をどうすれば達成できるか、考えを派生させていく問題解決的なもの(例:会社の利益を上げるには、テレワークを導入するには)
 ●ある問題について、なぜ起こったのかを掘り下げていく原因究明的なもの(例:不良品が発生した理由)
 事例として『我が社の利益を上げるには』で作ります。これが根っこになり、どうすればいいかと問いかけ、まず『収入を増やす』『支出を減らす』の意見が出され、二本の枝となって伸びました。次いで、収入を増やすに対し『製品メニューを増やす』『販売数量を増やす』の枝が伸びます。このように、「どのように」を重ね、これ以上具体的にならなくなるまで続ければ見事な木になるでしょう。
 それはロジカル思考を具体的に表しているので、会議や話し合いをそれに沿って進め、すべての意見を公平・公正に検討する習慣作りが重要です。
 知っているスキルを使えないのは、美味しい食材を冷凍庫に入れっぱなしで貧しい食事をするのと同じです。それをひとり一人が自覚し行動へ変えてください。
 次回は、ロジカル思考を応用した『システム思考』を紹介します。どうぞご期待ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

→プロフィールはこちら

目次