ファシリテーションの基礎となる思考方法(5)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今回は『プロコン』の後半です。ラテン語のプロ(Pros:賛成)とコン(Cons:反対)から命名された、物事を相反する側面から考えて意思決定するためのフレームワーク(思考の枠組み)です。
前回、活用事例として、ある会社が「このご時世だし、自社でもテレワークにしたほうがいいかどうか」を検討する会議の場面を想定し、3つの重要ポイントのひとつめ、『お互い否定せずに、自由に意見をたくさん出す』を紹介しました。

今回は、ポイントのふたつめ、『出てきた意見のレベルを揃える』について解説します。
会議の結論を出すには、メリットとデメリット双方の言い分を等しく検討する必要があります。

例えば、ある人が「自分のペースで仕事ができる」というメリットの意見を出したとします。
それに対して「通勤する人が減るので交通運輸業が経営困難になる」というデメリットを出しても、議論がかみ合いません。
個人レベルのメリットに対しては「仕事と余暇の切り分けが難しい」「家族に気兼ねして仕事どころではない」などと同じレベル感でデメリットを挙げる必要があります。

なお、「交通運輸業…」という社会レベルの意見に対しては「地方の人材活性化につながる」というメリットを出せば議論になります。
また、会社・組織レベルでは「オフィス賃貸料が軽減できる」というメリットに対して「社員宅での光熱費負担が増える」というデメリットが考えられます。

このように、テーマがテレワークですと、個人や会社(組織)、社会の各レベルに応じたメリット・デメリットを提示し合う必要があります。
各レベルの意見をバランス良く出すことが、プロコン活用のふたつめのポイントです。

次回は、ポイントのみっつめ『それでも反対する人への対応」について解説します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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