ハラスメント問題について考える(4) 占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
ハラスメント問題について考える(4) 暴力という認識
                                  占部 正尚

 一般的にハラスメントとは、相手に対する嫌がらせであり、苦
痛や不利益を与える行為全般を指します。
 ただ、何が苦痛で、どこまでが不利益であるかは、各人で判断
基準が異なり、ここに前々回にも指摘した曖昧さが存在します。
また、取って付けたような外来語の名称も、問題の深刻さにオブ
ラートをかけ、人々の認識を曖昧なものとしています。
 もし、相手に身体的な苦痛を与えたり、明らかに不当な解雇を
行ったりした場合は、犯罪行為として裁かれますので曖昧さは少
ないでしょう。
 考えるべきは、相手に精神的な苦痛を与えるケースであり、こ
れは表面化しにくいため根が深いといえます。
 そこで、提唱したいのは「精神的暴力」、すなわち言葉による暴
力行為は、思った以上に個人にも組織にもダメージを与えるという
認識を広めていくことです。
 参考までに、厚生労働省はパワハラを「精神的攻撃」「過大な要
求」「個の侵害」など6類型に分類しており、そのうち5類型が
「言葉」の問題として捉えられています。
 なお一説には、ハラスメントは40種類以上にも及ぶとされますが
なかには「ヌードルハラスメント」、いわゆる麺類を食べる音が周
に不快感を起こさせるといった、論点が細かいものも存在します。
 次回以降、特に深刻なセクハラとパワハラに絞って、発生原因や解
決の方向性などについて解説します。


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