労働という切り口で考える(16)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
   労働という切り口で考える(16)最終回
   感情労働を支える“体”                 占部 正尚

 感情労働は何と言っても“心”の在り方が大切ですが、精神状
態を常に一定に保ちながら講義を進めるためには、“体”の調子
を整えることも重要な講師としての心得です。
 当然のことですが、二日酔いの状態や頭痛・歯痛などが激しい
時は、“心”を穏やかにすることは無理でしょう。
 講師としては、日頃から酒や食事の量は節制を心掛け、また健
康全般については摂生に努めながら日々の講義に臨むことがプロ
としての義務といえます。
 さて、講師という仕事を肉体労働・頭脳労働・感情労働の三方
向から考えてきましたが、共通するのは、いつでも最高のパフォ
ーマンスを発揮できるよう、プロ意識を高く持ち続けることが重
要であることです。
 日本とアメリカの両方で大活躍し、惜しくも現役を引退したイ
チロー選手が会見で述べた「ひとつひとつを積み重ねることが、
目標に到達する唯一の方法だ」という言葉は、講師の仕事にこそ
当てはまるものです。
 選ばれ続ける講師は、一朝一夕に生まれるものではありません。
自分の力量アップのために、そして受講生に本当に役立つ知識や
技能をお持ち帰りいただくために、成すべきことをコツコツと積
み重ねていくのみです。


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