プロ意識を体現する(1)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(1)今あるものでベストを尽くす(その1)
                                         占部 正尚

 研修・セミナーの講師は大部分が講師料を得ており、プロとして
の自覚を持って登壇しているはずです。
 ところが、より満足度の高い講義をしようという意識はあるはず
ですが、受講生や研修担当者からマイナスの発言が出たり、低い評
価が下されたとき、プロ意識の低さを露呈してしまう講師を多々見
受けます。
 たとえば大型の研修案件で、複数の講師が別々の教室で講義をす
ることがあります。そのような場面で、休憩時間や終了後にミーテ
ングをするとき、各講師の意識レベルが分かります。
 よくあるケースは、研修会社や顧客企業が用意したテキストや配布
資料に誤字脱字があったり、説明が不十分で分かり難い箇所があり
受講生からクレームが出た場合、「こんなテキストじゃ、やってら
れないよ」と不満を漏らす講師がいることです。
 そのような人は、まず講師としての伸びしろはありませんし、私の
経験では次回以降に研修会場で顔を合わせることはありません。
 選ばれ続ける講師は、たとえ自分以外の誰かが犯したミスで不測の
事態が起こっても、「今あるものでベストを尽くす」というスタン
で、受講生にとって有意義な講義を続行するのです。
 そのような講師に対して受講生は信頼を寄せ、「小さなミスをあげ
つらうより、この講師からもっと重要なことを聞き出してやろう」
いう気持ちになるのです。

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