プロ意識を体現する(5)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(5)謙虚以上、傲慢未満(その1)
                   占部 正尚

 日本において、謙虚であることは美徳とされ、より腰を低くし
て相手と接し、いただいた提言・苦言には素直に耳を傾けること
が社会人として良いことであると認識されています。
 講師はお客様からお金を頂戴し、プロとして人前に立って物事
を教える立場ですので、基本的に謙虚な姿勢を意識すべき存在で
あるといえます。
 しかし、中には謙虚という概念を勘違いし、例えば登壇の際に
「まだ経験も浅いので、どこまでご満足いただける話ができるか
分かりませんが」と挨拶したり、討議演習の後に「皆さんから様
々な意見を聞くことができて、勉強になりました」と発言する人
が意外と多いのです。
 いずれもお客様からのクレームにつながった例であり、理由は
明確です。プロとしてお金をいただいておきながら、「良い話が
できるか分からないとは何事だ!」「私たちから学んだとは本末
転倒だ!」と受講生や研修担当者の反感を買ってしまったのです。
 必要以上に謙遜すること、あるいは相手を持ち上げ過ぎること
は、決して謙虚な姿勢とは言えません。自信が持てないために言
い訳をし、また相手に媚びを売ってしまったに過ぎません。
 プロはプロらしく、水面下では死ぬほどの努力をして知識や技
能を修得し、受講生の前では堂々と振る舞えばよいのです。お客
様もお金を支払う以上、講師のプロフェッショナルな姿勢を期待
しているのです。



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