■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(11)謙虚以上、傲慢未満(その7)
占部 正尚
講師にとってコンセプチュアルスキル(概念形成力)は、選ば
れ続けるための生命線であり、絶対の自信をもって研修に臨みた
いものです。
なぜなら、同じ研修テーマであっても、受講生の職種や階層ご
と、顧客企業の要求事項ごと、企業を取り巻く情勢や環境ごとに
研修プログラムや演習の進め方は異なり、これをいかに最適な形
でアレンジしていくのかを考えるのがコンセプチュアルスキルだ
からです。
したがって、成長意欲に富む講師ほど、ここに対する受講生や
研修担当者からの評価、すなわちアンケート結果は最も気になる
ところでしょう。
たとえば「演習が多過ぎる。もっと講師の話が聞きたい」「文
書研修では、パソコンを使用した内容にしてほしい」など、プロ
グラムの構成や講義手法に関する受講生からの要望を多々目にし
ます。
もちろん、書かれている内容をひとつひとつ取り上げて、謙虚
に次回からの改善事項として対応することは悪いことではありま
せん。
しかし、講師としての信念をもって「演習を繰り返して、知識
だけではなく実践力を身に付けてもらいたい」「パソコンでコピ
ーペーストしたのでは、本当の文書作成力は身につかない」とい
う理由付けのもとで「対応不可」とするのであれば、それは適切
な判断です。
そして、研修担当者の多くは、講師の経験と自信に基づいた講
義内容には敬意を表し、支持してくださいます。
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