■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(12)謙虚以上、傲慢未満(その8)
占部 正尚
講師は基本的に、信念をもって組み立てたプログラムや講義手
法に対して多少の反対意見や異論があったとしても、自身のやり
方を貫くべきです。
その姿勢が、豊富な経験や専門分野に関する造詣に裏打ちされ
たものであれば、自ずと受講生や研修担当者からの信頼につなが
り、選ばれ続ける要因となります。
ただ厄介なのは、“信念”と“傲慢”とは時として紙一重の差
で講師の運命を左右してしまうのです。
ベテラン講師ほど自分のやり方に自信を持っているため、顧客
からの要望に対して鈍感になってしまい、自分では気づかないう
ちに傲慢な姿勢に陥る危険性が高いと言えるでしょう。
以前、論理的な講義で定評のある初老の講師が、担当者から
「少し噛み砕いて説明してほしい。受講生が眠そうにしている」
と頼まれた際、「この位の話が聞けなくてどうする」という硬直
した態度をとり、二度と呼ばれることはありませんでした。
さて、選ばれ続ける講師になるためには、この“信念”と“傲
慢”の見極めが的確にできることが肝要です。
その判断力の醸成に向けては、失敗をしながらも様々な経験を
積むことが必要ですが、見極めの判断基準は確たるものを持って
おいた方がよいでしょう。
お勧めしたい基準は、アンケート結果など講師に対する意見が
“ネガティブな指摘”か“ポジティブな提案”かということです。
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