■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(15)謙虚以上、傲慢未満(その11)
占部 正尚
自分の信念を貫きつつ、かつ傲慢にならないためには「自分が
傲慢になっていないかどうかを客観視すること」が大切です。
私は三十年ほどセミナー・研修の講師業界を見てきましたが、周
囲から傲慢と思われ、選ばれ続ける講師になれない人の特徴に気づ
きました。
その最大のポイントはお金です。第一のケースとして、お客様の
都合により高額の講師料を用意できない場合があります。特に公的
機関や中小企業は予算に限りがあり、大手企業と比較すると講師料
の目安は低くなりがちです。
こうした事情の中で、高い講師料を払ってくださるお客様は大切
にして、低い先は疎かにする講師がいます。収益性の高いAランク
の顧客を増やしていくよう定義した、マーケティングや戦略分野の
ABC分析が頭にあるのかもしれません。
ただ、お客様の側に立つと気分の良いものではありませんし、
「この講師は傲慢だ」という悪い印象しか残りません。
その点、選ばれ続ける講師は、低額の仕事であっても全力で取り
組みます。あたかも「獅子は兎を倒すときにも全力で当たる」とい
う言葉を実践するかのようにです。
こうした姿勢は、お客様に必ず良い印象を残します。また、良い
話は巡り巡って、高額の講師料が用意できる企業が講師選定をする
際の参考情報として、不思議と伝わっていくものです。
次回は、お金にまつわる第二のケースを考えていきます。
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