■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(13) 謙虚以上、傲慢未満(その9)
占部 正尚
受講生が研修終了後に記入してくれたアンケートの結果は貴重
な情報源ではありますが、中にはネガティブな指摘も含まれてい
ます。
例えば、「配布資料が多過ぎる」「板書した内容はテキストに
書いておいて欲しい」「演習が多くて、もっと講師の話が聞きた
い」などが挙げられます。
これらの指摘には必ずと言ってよいほど、「資料が詳しくて分
かりやすい」「板書されたことでポイントがより明確になった」
「演習が多くて、実践的に身についた」など、ポジティブなコメ
ントがネガティブなもの以上に寄せられます。
さて、ネガティブな指摘を書く人の傾向として「楽して学びた
い」という気持ちが根底にあるようです。したがって、目を通す
分量やメモする分量が増えたり、頭を使う時間が長くなると、苦
労が増えたと感じ、講師に対する不満となって表面化するのです。
しかし、スキルアップのためには、研修に限らずスポーツでも
音楽でも芸術でも、多少の負荷を乗り越えることが肝要であり、
楽して何かを身に付けようという姿勢そのものに問題があります。
残念ながら、アンケートで後から何を指摘されたとしても、
講師としては好ましくない姿勢を正してあげることはできません。
むしろ、負荷を乗り超えた受講生のポジティブな感想を尊重し、
講師としての強みと考える方が、選ばれ続ける講師になるための
近道といえます。
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