プロ意識を体現する(10)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
プロ意識を体現する(10)謙虚以上、傲慢未満(その6)
                                    占部 正尚

 講師がヒューマンスキル(人間関係調整力)を発揮するための
キーワードは「自然体」です。ある程度の経験がある講師であれ
ば、自身の専門知識や経験で受講生をスキルアップさせたいとい
う強い意志があれば、自ずと受講生は真剣に受講し、評価も高ま
ります。
 経験の浅い講師の中には、「受講生に気に入られたい」「研修
を盛り上げて良い評価を得たい」と思うがあまり、無理に笑顔を
作ったり、柔らかい態度で臨もうと努める人が少なからずいます。
 ただ、小手先の工夫は必ず相手から見透かされ、かえって評価
を低めることになりかねません。ぜひ「今ある自分の力でベスト
を尽くす」という思いで、「自然体」を目ざしてください。
 さて、講師と受講生の距離を縮め、ヒューマンスキルを発揮しや
すい状態を作る手法としてアイスブレーキングがありますが、あま
りお勧めできません。
 この様な書き方をすると、おそらく傲慢な姿勢と感じる方もいる
ことでしょう。
 しかし、そのようなものに時間を割くぐらいなら、演習で受講生
が仕上げたアウトプットについて丁寧にコメントしたり、質疑応答
の時間を多めに設けた方が、よほどヒューマンスキルが発揮され、
受講生の満足度も高まるはずです。
 講師の都合や願望ではなく、受講生ファーストで研修に取り組む
ことこそ、謙虚な姿勢の表れなのです。

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