労働という切り口で考える(12)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
 労働という切り口で考える(12) 感情労働を支える“心”
                                    占部 正尚

 講義中に態度の悪い受講生が目についたり、終了後に担当者から
無理な申し出を受けたりして怒りや悲しみが湧いた時、講師は自分
の感情とどのように向き合えばよいのでしょうか。
 一般的には感情をコントロールすることが求められ、ひと呼吸お
いて気持ちを落ち着かせたり、怒りの内容を書き留めて客観視する
など、様々な方法が紹介されています。
 これは感情の『抑制』であり、できる人には有効な手法かも知れ
ません。ただし、性格にもよりますが、抑えたものはいつか爆発し
てしまう可能性があります。
 そして、爆発したエネルギーが相手に向かって放出され、パワハ
ラになることもあれば、自分自身に向かってしまい、精神的にダメ
ージを受けることも想定されます。
 また、講師として認識すべきは、講師自身が感情をコントロール
できても、受講生の態度の悪さや担当者の認識の低さが改善される
訳ではないことです。
 選ばれ続ける講師になるためには、単に自身の感情のことだけで
はなく、相手や周囲の感情についても配慮し、皆で良い感情レベル
に向かうよう『昇華』させる工夫が大切です。
 これができれば講師として大きな満足感につながり、さらなる
『昇華』に取り組む原動力となるでしょう。
 次回以降、感情労働としての講師の仕事をレベルアップさせるた
めに、心がけたいことや発想の仕方について解説します。

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