講師力の幅を広げる(5)占部正尚

■ワンポイント・エッセイ
        講師力の幅を広げる(5)    正尚

 ホワイトボードを上手く使いこなす講師は、確実に受講生の学
習意欲を高め、結果として高い評価を得ることができます。
 重要なポイントを板書する程度であれば、ほとんどの講師が実
施していますが、これでは単に情報をアウトプットしただけです。
しかし、選ばれ続ける講師は、受講生の発言を板書しながらイン
プットし、それらを基に伝えたいポイントをアウトプットしてい
きます。
 例えば、「分かりやすい文書を書くためには“書きたい情報の整
理”が大切であること」を伝えたい場合、まずは分かりにくいサン
プルの文書を読ませます。
 そして、「どうしたら分かりやすい文書に書き直せるか」を質問
し、回答を次々に板書していきながら、結論として「皆さんの考え
をまとめて言えば、“情報整理”が大切だということですね」と伝
えます。
 受講生は、このライブ感覚の進め方に興味を持ち、何気なく答え
た内容が重要なポイントとして種明かしされることで、大切な気づ
きを得ることができます。
 このように講師と受講生の双方向でのやり取りが常にできるよう、
日頃から頭の中で「このポイントを導き出すために、どんな質問を
げかけたら良いか」といったシミュレーションを繰り返していきま
ょう。
 選ばれ続ける講師は、1回1回の研修を真剣勝負のライブとして捉
え、これを成功させるために不断の努力を続けているのです。

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