ワンポイント・エッセイ
講師力の幅を広げる(3) 占部 正尚
プレゼンテーションにおけるインパクトを高めるための手法と
して、前回は時系列の視点、すなわち“過去と現在”、“現在と
未来”を並べる「対比構造」を紹介しましたが、他にも様々な視
点が考えられます。
受講生が研修終了後に記入するアンケート結果で目立つのが
「講師の自慢話が多い」というものです。経験年数や登壇回数の
多いベテラン講師ほど陥りやすいミスです。
講師が自身の体験談を語ることは説得力を増すために有効です
が、それが一方的な語り口調になると、受講生からの反発を招き
かねません。
ここで登場するのが“自分と相手”という並列の視点での「対比
構造」です。自分の体験談の後に、それが相手にとってどう役立つ
のか、どう応用できるのかを対比させながら話すと、相手は他人事
ではなく自分自身の話として聴き始めますので、説得力が大いに増
します。
もし受講生の職種や特性がまちまちで、どう対比させるとよいか
が分からない場合は、問いかけてみるとよいでしょう。
例えば、「偉い人の懐に飛び込んで成功した」という体験談を話
した後は「いまの私の話について、ポイントは何だと思いますか?
「あなたは偉い人と接する時、どうしていますか?」などと質問す
のです。
こうした「対比構造」を意識した双方向のやり取りによって、受講
生の理解度が増し、満足感を高めることにつながります。
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