ファシリテーションの基礎となる思考方法 ポジティブ思考(3)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当する水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシ
リテーション・スキルを紹介しています。
まずは、基礎となる考え方として、前々回からポジティブ思考を取り上げています。物事をありのままに捉え、良い・悪いの評価はせず、その上で積極的な姿勢で分析と改善に取り組む、です。
今回も事例を用いてポジティブ思考の理解を深めます。
ある製造会社で満を持して新製品を販売しました。
すると、購入者から、使い勝手が悪い、旧製品の方が良かったなどネガティブな反応が予想以上にあり、販売部で緊急会議を開いている場面です。
購入者の声をざっと眺めながらメンバーが意見を出し合っています。
「彼らは保守的。前のが良いと普通に言われるよ」(原因帰属バイアス)
「そのうち使い方に慣れてくる。前の製品の時もそうだった」(正常性バイアス)
「言いにくいことを言ってくれる。購入者の声は宝の山。感謝だ」(後知恵バイアス)
「素晴らしいという意見もある。そっちに意識を向けよう」(利用可能性バイアス)
ご覧の通り、さまざまなバイアス(歪み・思考の癖)がかかっています(バイアスについては昨年のクリティカル思考編を参照ください)
そこでポジティブ思考の心得のあるメンバーが発言しました。
「まずは購入者の声を素直に受け止めませんか。そして評価軸を定め分類しましょう。『高評価』『低評価』または『好評』『不評』が考えられます。また、これらの情報は関連部署に共有し、改善提案していきましょう」
会議ではポジティブ思考が必須です。悪い情報を良いふうに思い込めば、事実認識を歪め、判断を誤る可能性もあります。起こった出来事をありのまま受け止めるからこそ、昨年号までに紹介してきた分析思考が有効になります。
 思考編は今回で終わりです。次回から実践スキルを紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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