ファシリテーションの基礎となる思考方法 クリティカル思考(1)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは!毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
先月まで、ファシリテーションの基礎となる考え方として、ロジカル思考およびその発展形であるシステム思考を紹介してきました。
今回は思考のみっつめ、クリティカル思考(Critical Thinking)を取り上げます。批判的思考と訳されています。クリティカル思考とは、先に挙げたロジカル思考やシステム思考をより正確に使うための「心得」と言えます。
ある選択は論理的には一見正しくても、本当に組織のため、社会のために有効なのか、それを確かめるために、「そもそも前提は正しいか」「他に可能性がないか」とチェックする機能が特徴です。
一例を挙げましょう。ある製造企業の宣伝部での会議です。新製品XXについて思い入れの強い担当者Aさんが力強くメンバーを説得しようとしている場面です。
「では、新製品XXの売れ行き予測について報告します。新製品XXは売れると判断できます。実は内々に近所の主婦3名にテスト使用してもらった結果3名からとも高評価だったからです。100%好意的な反響です!」
皆さんはこの報告を聞いてどう思いますか。新製品XXの販売のゴーサインを出せますか。Aさんの報告は論理的には正しいといえます。また、Aさんが噓を言っているというわけではありません。しかし、次のような疑問が沸き起こって来ませんか。

●販売の判断を3名だけの感想で検討していいのか?
●主婦3名はAさんの知り合いだから製品について悪く言えなかったのでは?
●完全な製品は無い。悪い感想が無いのはむしろ不自然では?

人には「確証バイアス」と言って、自分に都合の良い考え方をしたり、情報を集めたりする傾向があります。このような人が持っている思考の癖を、クリティカル思考を習慣化することで是正すれば冷静な判断が可能になります。
次回もクリティカル思考の事例を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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