ファシリテーションの基礎となる思考方法(6)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前回は、『プロコン』の活用事例として、「テレワークを行うかどうか」という会議の場面を想定し、3つの重要ポイントのうちのふたつ、『お互い否定せずに、自由に意見をたくさん出す』『出てきた意見のレベルを揃える』を紹介しました。
今回は、みっつめ、『それでも反対する人への対応』について解説します。
それでも、とは、結論が出る、出かかっているにもかかわらず、という意味です。

プロコンは、メリットとデメリット双方の言い分を等しく検討しながら結論に至る手法です。
進める際、意見を一つずつ丁寧に取り上げていかないと、終盤になって「そもそも…」「やっぱり…」「実は…」と違和感を表す、結論をひっくり返す人が出てきます。

このような「反対」を表す動機にはふたつの種類があります。
ひとつめは、結論Aの考え方に相容れずBを表明する場合です。
これに対しては、補足としてB案を取り入れ、結論とするやり方があります。
前回の事例(テレワークのメリット・デメリット)でいえば、「結論は全員自宅でテレワーク(結論A)。一部は本社通勤で行う(補足案B)」という具合です。
プロコンで注意しておきたいのは、絶対的なメリット・デメリットは無いということです。すべての意見に少なからず合意できない面があります。

ふたつめは、他に考えは無いが意見Aに反対する場合です。
正確には、意見にではなく、会議の進め方に反対しているのです。
多数意見が勢いで決めがちな場面でよく起こります。
自分の意見や存在を無視されたと捉え、ネガティブな感情表現として「反対」と言っていますから、黙り込んでいる、不機嫌そうな人には気を配りましょう。
「納得されていますか」「進んでもよろしいですか」と合意を得ながら進めましょう。

次回は『リフレーミング』を紹介します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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