ファシリテーションで多様性を活かす(47)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
今月は、『オンライン会議での議論の進め方』について、主に司会役に役立つ「意見をまとめる方法」をテーマにしています。前回は「分類」と「類型」というふたつの方法をあげ「分類」について説明しました。今回は「類型」とはどういうものか、具体的に述べます。

「類型」は、それぞれの意見が持つ意味を深く考え、似た背景や価値観を持つ同士をつなぎ合わせ、問題解決に至る筋道を見つけていきます。
オンライン会議用の付箋アプリもあり、似た意見を囲めば相互の関係性が見やすくなります。親和図とも呼ばれます。
一例として、ある会社で「次年度の商品企画を考える」という議題で会議を行ったとしましょう。
司会者はまず、参加者から意見を求めます。この時、出来るだけ具体的に述べるよう促しましょう。そして、ひとつひとつの意見について参加者の同意を得ながら、似たものを見つけてグループ化していきます。

会話例で示すと次のようになります。
Aさん「現状、商品展開が総花的になっているのが問題だ」
Bさん「いや、商品の開発サイクルが場あたり的だ」
Cさん「そもそも、ターゲットやねらいが定まっていない」
3人とも違う意見を持っているようです。しかし、司会者が「もっと詳しく」「なぜそう思うか」と尋ねていくと、3人の意見の共通点が見えてきました。
「要は、戦略がないってことじゃないの?」ひとりがこう言うと、みんなが頷きました。そこで司会者は、「次年度の商品戦略が必要である」というひとつのグループにしました。

このように、隠れた共通項を見つけ、まとめていく方法が「類型」です。
「言いたいことは何か」「問題解決に至る本質は何か」を考えながら、段々とグループサイズを大きくしていき、全体でのまとめの言葉を探っていきます。
「類型」は「分類」に比べ時間はかかりますが、個々の意見を丁寧に扱うため、参加者の納得度が高いのが長所です。
次回は、「まとまった意見を実践にうつす」を解説します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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