ファシリテーションで多様性を活かす(45)

水江 泰資(みずえ ひろよし)

こんにちは! 
毎週水曜日を担当します水江 泰資(みずえ ひろよし)です。
本エッセイでは、少人数の打合せや会議運営で役立つファシリテーション・スキルを紹介しています。
前月に引き続き、『オンライン会議での議論の進め方』について、主に司会役に必要な考え方やスキルを紹介しています。

前々回から、「意見をまとめる方法」をテーマに段階に解説を始め、第1回は「準備編:意見を書き留める方法」を、第2回は「意見を引き出すコツ」を取り上げました。意見を十分に出し尽くすのがそのコツで、ファシリテーションの専門用語で「発散」といいます。

今回から、「出た意見をまとめる」段階に入りますが、まずは「まとめる」という思考について説明します。
議題について参加者の多種多様な意見が出るのが会議を行う意義であり、問題解決につながる、論理の筋道が立てやすくなる効果があります。
しかし、意見が出されたままだと、誰もがすべてを覚えてはいられないので、次第に話し合いに混乱が生じてきます。
そこで、意見が出尽くした段階で、決まったこと、重要なこと、考慮しなくてもいいことなどに仕分け、整理します。この行為が「まとめる」です。ファシリテーションの専門用語で「収束」といいます。
この時、司会者は、参加者の意識を「出す」から「まとめる」へと変える働きかけを行う必要があります。例えば、意見は出尽くしましたね、あとからあれこれ言うのは無し、と確認し、議論は後戻りできないと強調するのがポイントです。

意見をまとめる考え方には大きく分けて二つあります。ひとつは分類、もうひとつは類型です。
分類は、あらかじめ定めておいた指標に従い意見を分けていきます。例えば、商品やサービスに関する議題であれば、品質、コスト(経費)、納期の3指標がよく使われます。
類型は、一つの意見が持つ意味を深く考え、似た背景や価値観の意見同士をつなぎ合わせて体系化します。文化人類学で活用され、近年では新商品・サービス開発の分野で応用されています。

次回は「分類」、その後「類型」についてもう少し詳しく解説します。

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この記事を書いた人

研修講師、国際認定ファシリテーター

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